熱闘味噌汁
学生の頃、朝食の味噌汁が毎朝ついさっきまで鍋でゴッブゴブに沸騰してたような激熱のものだった。
早く朝食を終えて家を出なきゃいけないけど、味噌汁が熱くて飲めない。
「味噌汁熱くて飲めないから残していくよ」
そう言うと母は
「ふざけるな!全部飲んでいけ!」
と怒鳴る。
「熱くて飲めないんだってば!!」とキレ返す事もあった。
…これが毎朝の日課だった。
何度か味噌汁をもう少しぬるくしておいて欲しいとお願いした事もあったけど、
毎朝味噌汁は激熱なのだった。
また、母は夕食の仕度も遅くいつもお腹ぺこぺこで待たされたし、
お弁当を作るのも遅い為に私はいつも部活の朝練に遅刻するか出られなかった。
パートから夕方帰ってきてしばらくテレビの前で横になって、夕食が出来上がるのは夜8時半から9時。
お腹すいたとか言おうものなら
働いて疲れてるんだ!と怒られたので言わないようにした。
お弁当も、私が朝何時に家を出る必要があるか何度か伝えたけど、早く作ってくれる事はなかった。
顧問の先生に私はお寝坊さんか遅刻魔だと思われていたけど、そうではない。
でも味噌汁が熱くて…とかお弁当ができていなくて…とか言えるはずもない。
母は私から「早くして欲しい」とか「◯◯して欲しい」と言われると必ずキレた。
それは自分はもう十分に子供の為にしているのに、これ以上何か要求されたくない!!という気持ちからと推測する。
それに子供は自分の所有物というか、奴隷か何かだと思っている節もあった。
意に反する事でも、
「世話になってるんだからそのくらいやれば?」と言われて従わざるを得ない時も多くあった。
「世話してやってる」「ひとりで大きくなったと思うな」
そう何度も言われたし、
「あんたのオムツも替えてやったんだから将来はあんたが私のオムツを替えるんだ」
と言うのも口癖だった。
父も母も、子供からの要望ははね返すか、ハイハイと聞き流すかだったので
親に何かお願い事をする事はなかった。