恨み・ます

前を向いていきたいけれど、たまに荷物の重さに立ち止まってしまいます。

ノックは無用じゃない

母は決して私の部屋のドアをノックしない人だった。
何度ノックしてからドアを開けてくれとお願いしてもハイハイと言われるだけ。

引き出しの中に閉まってるものや本棚に隠してるものも全部平気で勝手に見る人だった。


父はノックは一応するが私の返事を待たずにドアを開ける人だった。

私が修学旅行に行っている間に部屋の模様替えを勝手にした。

これまでは部屋のドアを開けると1番遠い場所に、ドアに背を向ける形に置いていた勉強机が、
修学旅行から帰ると部屋のドアを開けてすぐ目の前に移動されていた。

ドアを開けて私がちゃんと勉強しているかすぐわかるように。
何か別の事をしてて取り繕う暇を与えないように。


修学旅行の楽しかった気持ちはすぐに消え去って、その夜は頭にきたけど気持ちをぶつける先がなくて、床に座って壁に頭をゴンゴンぶつけながら泣いた。


部屋のドアはいつ開けられるかわからないから、部屋で着替えたい時はいつもドアが開かないようにドアにもたれながら着替えた。


ある日教育テレビのアメリカドラマを観ていたら(多分ドギーハウザー)、
主人公が自室のベットに横たわって考え事をしてたら彼の母親が部屋をノックした。

誰とも話したくない気分だった主人公は、
「開けないで、今、裸だから」と言って、母親は
「わかった、あとでいいわ」と言って去っていった。

私はこのシーンを見て驚いた。

自分の部屋に親が入ってくるのを断る事ができるんだ!

羨ましかった… 

少しでも逆らうとすぐに、誰の買った家に住んでるんだなんて言われた私には驚きだった。